蛇や竜をモチーフに、混乱や不安をめぐる作品を描いた。
とくにヤマタノオロチと赤い竜を描いたシリーズでは、古代エジプトにおける「絵に描かれたものは現実と同じ効力を持つ」という絵画観に影響を受け、畏れや混沌の象徴である蛇を縛られた姿で描いている。
頼りなく引かれたかぼそい線は、その混乱をどうにか制御しようとする紐のような存在だ。

また、それらの異形の蛇の姿を想像するにあたっては、民俗学者の吉野裕子の説を参照し、蒲葵（ビロウ）などのヤシ科植物を見立て、生命と畏怖の象徴として重ね合わせている。

2024.1.24横山麻衣