top of page

2025 Winter Mitukoshi Artweek

日本橋三越本店

2025.1.22 - 1.27

2025.1.22 - 1.27

今年の初夏、イタリア各地の「遺跡」を見るための旅に出た。
今回の作品はそれらの遺跡から出土した像や遺跡そのものをモチーフにしている。

発掘された遺跡は本来の機能を成していない。
遺跡のほとんどは気が遠くなるほどの時間を土に埋もれて過ごし、ある日突然地上に帰ってくる。本来の時代からエスケープして、本来の意味や形から解放されつつあるその姿はある種のいびつさを抱えているのに、不思議と自然な佇まいをしているのはなぜだろう。

私はデジタルのお絵描きアプリとアナログなキャンバスを用い、現代における「本物とはなにか」という問いのもとに作品を制作しているが、「遺跡」はまさにその問いのさなかにあると思う。
これらの絵の下絵は簡単なお絵描きアプリを使って、ドローイングするように描いている。即興性を伴った描画だから次に描くときはきっと違う形になるだろう。一方、出土した像は人類の寿命をはるかに超えた悠久の変化の途中にある。異なる時間軸が交わる瞬間を、今この時に生じた一つの本物としてキャンバス上に留めておきたいというのが私の願いである。

© YOKOYAMA MAI 2020-2025 all rights reserved.

bottom of page