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Art Fair Asia Fukuoka 2024
福岡国際センター(春風洞)
2024.9.19 - 9.21
2024.9.19 - 9.21
今年の初夏、イタリア各地の「遺跡」を見るための旅に出た。
この作品はそれらの遺跡から出土した横たわる女の像をモチーフにしている。
発掘された遺跡は本来の機能を成していない。
遺跡のほとんどは気が遠くなるほどの時間を土に埋もれて過ごし、ある日突然地上に帰ってくる。本来の時代からエスケープして、本来の意味や形から解放されつつあるその姿はある種のいびつさを抱えているのに、不思議と自然な佇まいをしているのはなぜだろう。
私はデジタルのお絵描きアプリとアナログなキャンバスを用い、現代における「本物とはなにか」という問いのもとに作品を制作しているが、「遺跡」はまさにその問いのさなかにあると思う。
この絵の下絵は簡単なお絵描きアプリを使って、ドローイングするように描いている。即興性を伴った描画だから次に描くときはきっと違う形になるだろう。一方、この像は人類の寿命をはるかに超えた悠久の変化の途中にある。異なる時間軸が交わる瞬間を、今この時に生じた一つの本物としてキャンバス上に留めておきたいというのが私の願いである。

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