昨年の夏、長崎県の南島原でのレジデンス中に、キリスト教禁教時代（17-18世紀）の潜伏キリシタンが隠れて信仰していたという「天狗天使像」と出会ったことがきっかけになった。夏の間ずっと、僅かな資料を手がかりに山の中の遺物を探し歩いた。

山の中に隠されるように放置されている石像は一見すると普通の観音像や天狗像に見えるが、よく観察すると密かに十字架やキリスト教のシンボルが刻まれている。
住んでいる人々さえも気付かないほど巧妙に隠されているのだ。仏教や修験道の姿に擬態し、山奥で隠されてきた様子が展示会場となった地下室のイメージと重なった。

2023.6.10 横山麻衣